AKA(エーケーエー)はarthro kinematic approachの略で、日本語では関節運動学的アプローチと言います。
AKA-博田法は、1979年から博田節夫(ハカタセツオ)医師により開発され、現在もなお改良が加えられている治療法で、もともとは固まってしまった関節(関節拘縮)を治療するために開発されたものですが、その開発過程で痛みやしびれに著しい効果を示すことが分かり、今では痛みの治療法として有名となりました。
テレビや雑誌で取り上げられることも多くなっています。
 
       
 

痛みは仙腸関節(せんちょうかんせつ:下図矢印)が鍵を握っていたのです。

 
 
 
 
  AKA-博田法は、この仙腸関節を優しく手で動かす治療法です。
整体、カイロプラクティック等と決定的に違うのは、医師や理学療法士が医学的根拠に基づいて診断・治療を行う点です。
仙腸関節を軽く手で広げたり、関節面を滑らせたりすると悪くなっていた仙腸関節の動きが改善し、痛みが和らぐことを博田医師は多数の腰痛患者において証明しました。
改善が期待できるのは腰痛の他に頚部痛、手や足のしびれ、膝痛などです。
私の研究(Published: December 8, 2015 https://doi.org/10.1371/journal.pone.0144325)では、約70%の患者様の慢性腰痛が改善するという結果が出ています。
 
       
 

現在のAKA診断では、痛みの原因として次の3つが挙げられます。

関節機能異常
関節の滑りが悪くなったもので、1〜2回のAKA-博田法により8週間以内に改善することが多いです。仙腸関節に起こることが最も多く、次いで肋椎関節、椎間関節などに多く起こります。

単純性関節炎
仙腸関節にもっとも起こりやすく、激痛を生じる事もあります。下肢痛、下肢のしびれや頚部痛なども伴うこともありますが、月1回のAKA-博田法により約6カ月で改善します。

関節炎特殊型
仙腸関節に生じる関節炎の特殊なもので、腰痛だけでなく全身の種々の部分の痛みやしびれまたは、自律神経症状を伴うことが多く、月1回のAKA-博田法により約6カ月以上かけて改善しますが、再発を繰り返します。現在の技術では改善が十分得られない方もいらっしゃいます。また、特に精神的要素が強く痛みに関わっている方は、改善が難しい場合もございます。
 
       
 

これらの事実がございます故、治療前に同意書をお書きいただいております。
以下は、AKA-博田法に対するより詳しいご紹介です。ご興味のある方は、ご覧ください。
やや専門的ですが、ネットなどで調べて頂ければ、ご理解も進むものと存じます。

 
       
   
       
  AKA(arthrokinematic approach:AKA)-博田法『エーケーエー・ハカタホウ』についてより詳しくご説明します。なお、文字の右肩にある数字は、根拠となる論文や書籍を示しており、*)、**)については後に解説があります。  
 
  AKA-博田法は1979年から博田節夫医師が開発に着手した運動療法1)のひとつで、その後も常に改善、改良がなされている我が国独自の手技療法(医師が手を使って行う治療)です。
AKA(arthrokinematic approach)が、運動療法として認知されていることは、1982年のPhysical Therapyという雑誌に記載があり1)、この論文の中でアメリカでは1960年代から中枢性疾患に対するリハビリとしてはneurophysiological approaches(NPA)が使われ、整形外科疾患に対するリハビリとしてはarthrokinematic approach(AKA)が使われるようになっているとあります。
しかし、日本には前者NPAのみが広く紹介され、AKAはほとんど紹介されなかったという事実があるのです。
つまり、AKAという言葉は一般名であり(下表)、この言葉を日本に紹介したのは博田節夫医師なのです。
 
   
  (文献2)より引用)  
  AKA-博田法は従来の運動療法の欠点を補う画期的治療法として、完成の域に近づいておりますが、習得に時間と労力を要するため、弟子である我々指導医の今後のより一層の努力、精進が必要不可欠と考えられています。責任の重大さをひしひしと感じる昨今です。
さて、ここでは、運動療法という広い意味合いというより、特に患者さんが身近に悩んでいらっしゃる「痛み」について話をさせていただきます。
 
     
  手を使った治療というと、指圧、マッサージや整体術等を思い浮かべる方も多いと思いますが、AKA-博田法は医学という土台に立ち、しっかりとした証拠(EBM*))により証明されつつある治療法である点が大きく異なります。
日本において、今後痛み治療に対する保存的療法の中心となることが期待されています。海外の手技療法については、どうでしょうか。これらの多くはカイロプラクティックなどから発展し、ドイツなどで成熟し運動学として理論づけがなされました3)。
しかしこれら海外の手技療法は、痛みを生じているのが関節なのか筋肉なのかあるいは靭帯なのかがはっきりせず、治療を行ってから判断する場合が多いのです。
したがって、その有効性を証明したという論文は多いのですが、未だEBM上で質の高い論文は出てきていないのが現状です。
 
     
  一方AKA-博田法は、日常の整形外科的疾患による痛みの多くが仙腸関節(せんちょうかんせつ)や椎間関節(ついかんかんせつ)などの機能障害から生じていると診断し、これらの関節に対して手を使って軽く動かすことにより痛みを改善する治療法です。
関節の微妙な動きを術者が感知し、さらに股関節や膝関節などを曲げ伸ばしして効果を評価し、直後から痛みが軽くなるという、原因と結果が直接結びついている科学性があります。
しかしながら、残念なことにAKA-博田法は、その有効性が確実であることがわかってはいるものの、その内容を論文にしたものが未だ少ないという弱点があります。急性腰痛症に対する有効性を示したもの4)が海外の雑誌に掲載されて注目を集めたのは2005年のことでした。
その後は、私(木檜)が慢性腰痛に対する有効性の証拠を求めた研究を(RCT**):アールシーティー)という方法で進め、2015年末にその論文がPLOS ONE5)というopen journalに掲載されました。
 
     
  さて、長い前置きでしたが、実例をお示しします。
以下にお示しします例は、以前私が以前勤務していた病院で、研究に参加していただいた患者さんのデータです。
お名前はもちろん住所や生年月日などはお示しできませんが、個人が特定できない範囲で年齢と病状の説明はさせていただきました。患者さんにとっては 複雑な説明より、痛みの変化を示したグラフを見ていただいたほうがわかりやすいかと思います。
グラフはペインスケール(VAS:visual analogue scale バス)という痛みのスケールを毎日3回ずつ専用のカレンダーに記入していただいたものをグラフにしたものです。0から100 まで、ご自分の判断で数字を記入していただきました。痛みの程度は他人にはわからないものですので、ご本人の判断で、尺度で記入をしていただいております。
0は全く痛くない、100は耐えられないほど痛いレベルとお考えください。この痛さのレベルは縦軸にお示ししました。横軸のBaselineとは治療前の状態を示し、afterの後の数字は治療回数とお考えください。治療は基本的に1ヶ月に1回です。実線は本物のAKA-博田法(AKA-H)、点線は仙骨を軽く触るだけのウソの博田法(Sham)を受けた場合の痛みの経時的変化を示したものです。
 
   
  AKA-博田法とSham手技におけるVAS平均値の経時的変化
**statistical significance(P<0.01:two-way[group and month]ANOVA)
「仙腸関節機能障害 AKA-博田法による診断と治療」南江堂 2014より一部改変して引用
 
     
  治療開始3回目から、本物のAKA-博田法とウソの治療法との間に統計的な差が見られ、6ヶ月後には約70%の患者さんに明らかな痛みの軽減効果が認められました。
また、研究に参加していただいたすべての患者様の痛みの経過を1ヶ月ごとにプロットした図が下記にあります。
左がAKA-博田法で治療した群、右がウソの治療法(Sham)を行なった群です。
 
  AKA-博田法群 Sham群  
 
 
 
  それぞれのグラフの一番左側が治療前、一番右側が治療開始6か月後です。縦軸は痛みの程度をあらわしています。このグラフを見ますと、Sham群でもはじめは痛みが良くなる人がかなりいらっしゃることが、お分かりになると思います。これは、いわゆるプラセボ効果と思われ、極端な言い方をすれば、何をやっても、少しは良くなる証拠と考えられます。
しかしながら、長期的にみるとやはり痛みは戻ってしまい、AKA-博田法で治療した群とは統計的に明らかな差が生じるのです。医学として医療として、きちんとした効果が確かめられている治療法をオススメするのはそのためです。尚研究に協力をして下さった患者様のうちSham 群にあたった方は、ご希望があれば、開示(貴方は今までShamの治療をさせて頂きました、と患者さんに告げる事)後6か月間AKA-博田法での治療をさせて頂きました。
以下がその結果のグラフです。
 
  AKA-博田法群 Sham群→AKA-博田法群  
 
 
 
  左のグラフはブルーの縦線、右のグラフは赤の縦線が開示を表します。両グラフとも、右端は治療開始後12ヶ月時点です。AKA-博田法群は開示後もそのままご希望により継続、Sham群は6カ月以降はAKA-博田法に切り替わっています。右のグラフを御覧になればおわかりのように、開示後AKA-博田法に切り替わってから、多くの患者さんのVAS(痛みのスケール)が低下しているのがおわかりかと存じます。  
     
  次は、症例のご紹介です。ブルーの四角い枠内はAKA-博田法を行う前の約1ヶ月間の数値の変化です。すなわち、ブルーの枠の右端からAKA-博田法が開始されたとお考えください。  
     
  実例 1. 60歳 男性/前医診断:変形性脊椎症 主訴:腰痛
5年来の腰痛で悩んでおり、民間療法も2ヵ所に通いましたがよくなりませんでした。
 
   
  このように、半年ぐらいは効果が不十分でしたが、その後徐々にペインスケールは低下し1年後の時点で、半分の値になりました。腰痛もかなり改善し、時折あるのですが以前のように日常生活が制限されるほどではなくなりました。  
     
  実例2.50歳 女性/前医診断:腰部脊柱管狭窄症、腰椎椎間板ヘルニア 主訴:右下 肢痛、しびれ
2年来の症状があり、50mの歩行で間欠性跛行(かんけつせいはこう:歩行などで下肢に負荷をかけると、次第に下肢の疼痛・しびれ・冷えを感じ、一時休息することにより症状が軽減し、再び運動が可能となること)が出現し、歩けなくなっていた方です。右大腿後面や前面から右足趾にかけてのしびれ、痛みがひどく、鎮痛剤内服、骨盤牽引、電気治療等を受けましたが無効でした。
 
   
  この方は2回目から劇的に効果があり、その後のペインスケールは10前後に落ち着き、復職も果たしました。 2008年5月から8月にかけて数字の上昇がありますが、これはぎっくり腰となってしまったからです。9月からは落ち着いており、10前後で経過しています。  
     
  実例3. 74歳 男性/前医診断:腰部脊柱管狭窄症 主訴:腰痛、左醤部〜大腿後面痛 右足底の異常知覚
この方は脳梗塞の奥様の介護を長年していらっしゃる方で、常に腰が痛く特に起床時につらいとのことでした。半年後ぐらいからペインスケールは低下し、1年後にはほぼ一桁にまで改善しています。
   
     
  実例 4. 52歳 女性/前医診断:腰痛症 主訴:腰痛
この方はゴルフ場のキャディーさんで1日6kmぐらいは歩くそうで、5年前から 腰痛に悩まされ続けていたそうです。いろいろと治療をしましたが、どれもあまり効果がなく、AKA-博田法にたどり着いたそうです。
 
   
  開始後半年ぐらいは十分な効果はありませんでしたが、やがて腰痛は軽くなり、1年後では開始前の約半分の痛みになっていました。仕事を続けている限りは、痛みゼロは難しいようです。よくなる方ばかりではありません。次の方は、遠方から来ていただきましたが、残念ながら、1年間の治療でも改善は得られませんでした。  
     
  実例 5. 75歳 女性/前医診断:腰部脊柱管狭窄症、脳梗塞後遺症 訴:腰痛 左臀部〜下腿外側〜足趾痛、冷感、間歇性跛行、左不全片麻痺
 
   
  この方は、重度の脊柱管狭窄症があり脳梗塞という合併症もありました。AKA-博田法の限界を示す、改善が難しかった代表例です。  
     
  多くの患者様や医師に認めてもらうには、その有効性につき科学的証明が必要です。当院でもその証明に向けて、受診の方々にご協力をいただいております。
何卒ご協力、研究への御参加をお願い致します。
 
  ・治療をご希望の方は、原則予約制となっておりますが、当日でも受けられる場合もございます。
お電話 03-3269-5903 にて受付職員にお尋ねください。
・最後に当院スタッフ一同、患者様の一日も早い回復をお祈りしております。
 
     
  * ) EBM(イービーエム)とは、根拠に基づいた医療(Evidenc-based medicine)のことで、医療において科学的根拠に基づいて診療方法を選択することです。
**)RCT(アールシーティー)とは、日本語では「ランダム化比較試験」といい、    治験及び臨床試験等において、データの偏り(バイアス)を軽減するため、被験者を無作為(ランダム)に処置群(治験薬群)と比較対照群(非治療薬群、プラセボ群など)に割り付けて実施し、評価を行う試験のことです。評価したい薬物または治療法が最も適正に評価される方法として、現在最もよく採用される試験方法であり、現在、医療現場で使用されている薬剤のほとんどはRCTでその有効性が証明されたものです 。薬剤だけでなく、手技療法も同じ方法で有効性が証明されなければなりません。
 
  1).Rose SJ, Rothstein JM. Muscle biology and physical therapy. A historical perspective. Phys Ther. 1982;62:1754−1756.
2).博田節夫 編:関節運動学的アプローチ-博田法 第2版 医歯薬出版, 東京,2007
3).Dvorak J,etc(江藤文夫,原田 孝 監訳):最新徒手医学 痛みの治療法. 新興医学出版社.東京.2000
4).S. Hakata, K. Sumita und S. Katada: Wirksamkeit derAK-Hakata-Methode bei der Behandlung der akuten Lumbago Manuelle Medizin 43(1):19-24.2005
5)Kogure A, Kotani K, Katada S, et al. : A randomized, single-blind, placebo-controlled study on the efficacy of the Arthrokinematic approach-Hakata method in patients with chronic nonspecific low back pain. PLoS One, 2015, 10: e0144325.
 
     

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